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病気のはなし

大腸がんと大腸カメラ検査について

2019年3月

部長 渡邉 一宏

はじめに

当科、光学医療診療科は内視鏡専門科のことです。
以下では、よくある質問のQ&Aです。

1.大腸がんとは?

2017年の日本統計では、大腸がんの死亡率は、がん全体の第2位で、近年は罹患率(病気にかかる人)も増加しています。これは単純に大腸がんが増加した以外に日本のハイレベルの内視鏡医が疾病を漏れなく見つけ、治療可能なものを切除・完治しているものも含まれます。大腸がんは、30年以上かけて食生活(加工肉など)、喫煙、遺伝的傾向(両親や祖父母の大腸ポリープや癌)、年齢的変化(加齢とともにできてしまう)などが複雑にからみあい、通常50歳前後で発症することが多い病気です。何かをしていたからとか、何かをすれば予防できるものでもありません。40歳以上になったら一度は大腸カメラ検査を受けることをお勧めします。

2.大腸がんのスクリーニングはどうしたらいいのか?

世田谷区では40歳以上から200円で便潜血検査が受けることが可能です。2日法で1日でも陽性の場合に2次検査が大腸カメラ検査になります。便潜血陽性は便秘・下痢で腸粘膜が傷ついたりすること、痔で肛門が切れたりすることでも陽性になりますが、当然ポリープやがんでも陽性になります。便潜血陽性の人の大腸ガンの割合は100人に1~2人程度と言われています。しかし、こすれなければ陰性にもなる場合もあり、進行大腸がんでも便潜血陽性率は80%程度なのです。このため遺伝傾向や腹部症状がある場合は、便潜血が陰性でも大腸カメラ検査を1回は受けることをお勧めします。

3.大腸カメラ検査はどういうものか?

通常は2日前から寝る前に下剤、前日は3食の検査食(購入)、当日は病院に来てから2リットルの洗腸剤を午前中2~ 3時間くらいかけて内服し、午後から検査を行います。全長1m20cmの大腸を80cmにたたみながら5分程度で挿入、抜きながら15分で観察して終了する1日がかりの検査です。希望者は自宅で洗腸剤を飲むこと、鎮静剤(無痛)を使用することも可能です。また高齢者・心臓・腎臓・糖尿病などでリスクが高い人は、1泊での入院検査も可能です。

4.検査で大腸がんが発見されたら?

がんの大きさ・深さと転移の有無で治療法が異なります。当科において早期ガンであれば内視鏡的粘膜切除術(EMR)や、より高度な内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)での入院治療も可能です。EMRは日帰り外来手術も可能ですが、通常は安全性を考慮し1泊入院治療です。ESDは2cm以上から消化管全周性も含め7泊8日間の入院期間になります。このESD治療は私自身、当院で14年間のキャリアがあり、比較的安定した治療になっています。内視鏡治療の内容は光学医療診療科のホームページに詳しく書いてありますので興味があればご覧ください。

5.安心して大腸カメラ検査・治療は受けられるのか?

内視鏡検査・治療にもリスクの可能性はあります。いかに内視鏡医のレベルを上げて内視鏡リスクを減らしていくかが問題です。かかりつけのベテラン内視鏡医で検査を受けて当科で治療を受けるのも一計でしょう。日本内視鏡学会では、2019年専門医制度で内視鏡医のサブ・スペシャリティ化を行い、一般内科ではなく専門性の高い厳密な内視鏡医育成プログラムの作成(当院では当科担当)が始まります。それに先駆け、当院では、すでに2015年からハイレベルの内視鏡検査・治療を患者さんに提供すべく当科が立ち上げられています。現在、当科はベテラン医師3名で構成され、高度な早期消化管がんの内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)治療はもちろん、女性の患者さんが女性医師により検査を受けることも可能となっています。

6.治療後の大腸カメラはどのくらいの間隔にすべきなのか?

1993年に米国で観察期間6年間で、大腸ポリープをとることにより大腸がんの予防効果が8割にもなるとの報告がありました。このことからも、徐々に大きくなる大腸ポリープから大腸がんにつながることが多く、明らかな良性ポリープ以外の大腸ポリープは、切除しておくことが必要です。では大腸ポリープが全てなくなったらどうするのがよいのでしょうか。米国では10年後の検査でよいとしていますが、日本では3年後とされています。ただし、切除したものが、がんであった場合は6ヶ月後か1年後の検査になりますし、これも患者さん それぞれの条件により次回の検査(便潜血や大腸カメラ)間隔は異なります。内視鏡専門医あるいはかかりつけ医にご相談ください。
おわりに  皆様の食道・胃・十二指腸・小腸・大腸の健康維持のためにぜひとも当科(内視鏡専門)もご利用下さい。当科外来初診日は内科外来にお問い合わせください。さらに、かかりつけの先生からの紹介状があると、初診にかかる保険外併用療養費5,000円(消費税別)はかかりません。

引用;医事新報 2018年, 4892号 渡邉一宏, 湯原宏樹

詳しくはこちらの診療科にて

消化管内科

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