このページでは、Javascriptを使用しています

病院広報誌

緑のひろば

2017年5月号

女性の更年期とその対策について

健康管理センター長 宮尾 益理子

更年期、更年期症状、更年期障害とは?

「更年期」とは、加齢による卵巣機能低下が原因でおこる月経停止(閉経)の前後10年(45〜55歳ぐらい)を指します。この時期におこる、他に原因のない様々な症状を「更年期症状」といい、日常生活に支障がでるようなら「更年期障害」といいます。この時期には、規則的な月経の周期が乱れがちになり、間隔が長くなり、やがて月経が来なくなり、1年以上来なければ閉経です。月経が規則的なうちでも、女性ホルモンの分泌が不安定になり、体調不良を自覚することが多くなります。典型的な症状は、のぼせ・発汗(ホットフラッシュ)、動悸やめまい、疲労感や睡眠障害などの自律神経失調症状ですが、それ以外にイライラや集中力の低下、気分が落ち込むなどの精神的な症状、関節痛などあらゆる症状が出現します(図1)。女性ホルモン(エストロゲン)は、乳腺や子宮など女性特有の臓器への作用が中心と思われがちですが、血管や骨、脳や脂肪の代謝など、あらゆる臓器に作用し、女性の身体を守っています。そのため閉経は最大の老化過程と考えられ、その後は健康寿命を脅かす骨粗鬆症や認知症などあらゆる病気の危険にさらされることになります(図2)。

更年期障害の症状
(図1)更年期障害の症状

エストロゲン欠乏に伴い出現する各種疾患・病態
(図2)エストロゲン欠乏に伴い出現する各種疾患・病態

この時期にこころがけたいこと

この時期の女性は、仕事でも家庭でも忙しく無理をしがちで、育児や介護など家族を優先して、自分を後回しにしている方が多いのではないでしょうか?その中で、今までと同じペースで課題をこなせない自分を責めたりしていないでしょうか?身体の中で劇的な変化がおこるこの時期は自分自身の考え方や気持ちの持ち方、周囲の理解やサポートが、症状の軽重や持続期間に大きな影響をもたらします。<アンチエイジング>と老化に抗う気持ちより、<ウィズエイジング>で変化を認めて、出来ないことより、出来ていることに目を向けることを心がけてください。無理をせず、下記を参考に、生活を見直すきっかけとしてください。

1)身体を動かすこと
運動には、エネルギーを燃やす有酸素運動(ウォーキングなど)、柔軟性を高めるストレッチ、筋肉を刺激し鍛えるレジスタンス運動(ダンベルやスクワットなどの筋トレ)があります。これらを組み合わせることが最も有効ですが、まずは出来る事から始めて楽しく続けてください。家事や、ガーデニングなど日常生活でも積極的に身体を動かしてみてください。

2)バランスのよい食生活
肥満対策も大切ですが、不健康に体重を減らすことは、骨や筋肉の減少に繋がります。主食(ご飯、パンなど)、主菜(肉、魚、大豆製品など)、副菜(野菜、根菜、海藻など)をバランスよく、必要なカロリー分をしっかりとりましょう。果物やお菓子などは、ほどほどを心がけてください。

2)体内時計を整える
毎日一定の時刻に起きて、太陽光をしっかり浴びること、朝食をとることで体内時計が整い、日常しっかり活動することは良眠に繋がります。この時期の女性は睡眠の悩みが増えてきます。体内時計の乱れは自律神経、免疫、内分泌(ホルモン)バランスを崩し、更年期症状を悪化させるだけでなく、様々な体調不良や疾患に繋がりますので注意が必要です。

3)ストレス対策
気分が滅入るような「悪いストレス」はなるべく受けないようにするとともに、同じ事でもなるべく前向きに捉えるようにすることが大切です。また、発表会があるような習い事など、新しいことを始めることは、「いいストレス」になりおすすめです。

4)健診を受けましょう&パートナードクターを見つけましょう
更年期から女性の生活習慣病のリスクは一気に高まります。一方、子宮頚癌や子宮体癌、乳癌、胃癌や大腸癌などの癌検診も必要です。体調不良が更年期のせい、と思っていたら、治療が必要な病気が隠れていた、ということもあります。健診や人間ドックを受けることをお勧めします。また、全人的に診てくれ、パートナーと思えるかかりつけ医がいると安心です。

人生90年時代の閉経後期間は30〜40年にもなります。更年期は健康の変換点です。この時期に自分の健康を自分で守る、という意識を持っていただければと思います。

 

診療科のご案内



交通のご案内

今月の担当医

休診情報

公立学校共済組合の皆さんへ


採用情報

看護部Webサイト

ボランティアについて

行事・イベント

病院広報誌 緑のひろば

日本医療機能評価機構認定病院

厚生労働省臨床研修指定病院

このページのトップへ