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病院広報誌

緑のひろば

2016年12月号

C型肝炎は治ります

消化器内科部長 小池 幸宏

 最近テレビのCMなどで、C型肝炎の新しい治療薬について目にしたことがあると思います。このページでは飲み薬でC型肝炎が治るようになったというお話をさせていただきます。

 日本におけるC型肝炎ウイルス感染者は150〜200万人程度と推定されています。また、肝臓癌(原発性肝癌)における死亡者は年間2万8千人におよび、その2/3はC型肝炎ウイルス感染が原因と考えられています。C型肝炎ウイルスに感染するとその多くが慢性化し、長い時間をかけてゆっくりと肝硬変、肝臓癌へと移行していきます。これまでにもC型肝炎ウイルスの治癒を目指して、様々な薬が開発されてきましたが、治療の中心はインターフェロンと呼ばれる注射薬で、副作用も強く、治療効果も決して十分でなかったため、今なお大勢のC型肝炎患者さんが存在します。ところが2014年以降、飲み薬だけで、副作用も非常に少なく、C型肝炎を完治させる薬が次々と発売されています。C型肝炎は治る時代になったのです。

 2014年末より、DAA (Direct Acting Antiviral)と総称される内服薬だけの抗ウイルス治療が保険収載されました。DAAとはウイルスに直接作用する薬という意味です。以前の抗ウイルス治療の主役であったインターフェロン(注射)が、患者さんの免疫能を高めることで間接的に抗ウイルス効果を発揮していたのに対し、DAAはウイルスの遺伝子に直接作用し、ウイルスの増殖を抑制することで抗ウイルス効果を発揮します。

 現在、適切な治療薬を選択すれば、DAAによって、C型肝炎患者さんの95%でウイルスの完全駆除(治癒)が期待できるようになりました。また、インターフェロンを用いた治療では、副作用が強く、一般的に65才までが治療の対象と考えられてきましたが、DAAを用いた治療では副作用が非常に軽微なため、以前は治療の対象とされなかった70歳以上の患者さんも治療を受けることが可能となりました。当院でDAA治療をお受けになった患者さんの7割以上が70歳超、3割以上が80歳超の高齢患者さんでした。

 実際の治療法は、C型肝炎ウイルスのタイプによって変わってきます。更に治療薬に対する反応性を確かめるためにウイルスの変異などを調べ、腎障害や高血圧などの合併症や、既に内服しているお薬の種類などを勘案してどの種類のDAAを用いるか決定します。治療期間は12〜16週間で、その間2週〜4週毎の通院が必要になります。

 このように以前と比較して非常少ない負担で治癒を目指せるようになったわけですが、それでは明日から治療しよう、というようには簡単にいきません。DAAは非常に高額なため、薬剤費は数百万円かかるのです。そのため、国の助成制度があり、事前に書類を提出し、許可を得ることで、安価で治療を受ける(1か月1万円)ことが可能となります。書類を作成できるのも、資格を取った肝臓専門医だけです。専門医に書類を作成してもらい、役所に提出後2〜3か月後に承認がおりてやっと治療が可能となります。

 現在C型肝炎で通院中の方、あるいはご親族、お知り合いにC型肝炎患者さんがいらっしゃる方、一度治療をあきらめた方でも、短期間の内服治療だけでウイルスを完全に駆除できるかもしれません。治療をご希望する方、治療についてもっと詳しく聞きたい方はぜひ肝臓専門医の受診をお勧めします。

まとめ

  1. C型肝炎は飲み薬だけで95%以上の方で治癒が可能
  2. 副作用は軽微で、80歳以上の高齢者でも治療可能
  3. 国の助成制度により安価で治療を受けることが可能
  4. まずは肝臓専門医にご相談を

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