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病院広報誌

緑のひろば

2016年8月号

乳房再建のはなし

形成外科 浅井 智之

1.疾患の解説
乳がんにかかる女性の比率は15人に1人程度と年々増加傾向にあります。乳がんの治療によって失われた乳房の形態を手術によりできるだけ元の形に復元することを乳房再建と言います。ここ10年の間に、乳がんの手術方法が進歩し、かなり左右対称に近い乳房を再建することが可能になってきました。

2.乳房再建の時期
乳房再建の時期は乳がんの手術の際に同時に行う一次再建と、乳がんの治療が一段落してからに行う二次再建とがあります。
一次再建は
(1)手術回数・費用が少ない。
(2)乳房の喪失感があまりない。
(3)乳がんと診断され、精神的に不安定な時期であるため、治療法を考える余裕がない。
(4)切除された乳房と比較するため満足度が低い。
などの特徴があります。
二次再建は
(1)乳がんの治療が一段落ついた頃に行うため、手術の必要性や手術方法をゆっくり決めることが出来る。
(2)再建された乳房は乳房喪失時期との比較であるため比較的満足度が高い。などの特徴があります。

3.乳房の再建方法
(1)人工乳房による再建
(2)自家組織による再建
があります。

(1)人工乳房(インプラント)による再建
いわゆるシリコンによる再建で、2013年より健康保険が適用となりました。最初に組織拡張器(エキスパンダー:シリコン製の風船のようなもの)を胸の筋肉の下に留置し、徐々に皮膚皮下組織を乳房の形に膨らませて、数ヶ月後に人工乳房に入れ替えます。
手術時間が短い、体に対する侵襲が少ない、胸の皮膚を拡張するので整容的に優れているなどの利点があります。しかし基本的には人工物ですから、ときに破損や変形の可能性もあります。その際は再度インプラントを入れ替えることになります。

(2)自家組織による再建
患者さん自身の身体の皮下脂肪の豊富な部分を胸に移植する方法です。自家組織の移植法としては、
@腹部の皮下脂肪を利用する腹直筋皮弁術
A背中やわき腹の皮下脂肪を利用する広背筋皮弁術
の2つが代表的な方法です。
利点は自分の組織で再建されるため、違和感がなく体型に応じて変化してくれることです。しかし、他の部位から組織が移植されるため、体への侵襲が大きく、組織を採取した部位にも傷あとが残ります。

4.最後に
乳房の欠損はいわゆる病気の状態ではないため、乳房再建を行うかどうかは患者さん自身で決めて頂くこととなります。乳房切除による喪失感や精神的苦痛から解放されたり、身体的にも左右のバランスが悪くなるなど日常生活の不都合が解消されるなどのメリットもありますが、治療を受ける負担があることも確かです。上記以外にも治療法は多岐に渡りますので、ご興味のある方は形成外科にてご相談ください。


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