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病院広報誌

緑のひろば

2011年11月号

カプセル内視鏡

消化器内科 瀬戸 元子


 少し大きめの薬のようなカプセル型の内視鏡で、小腸を観察する検査に使います。これまで小腸内部は検査が難しかったのですが、カプセル型の内視鏡を飲み込むことで小腸粘膜の観察が可能になりました。口から飲み込まれたカプセル内視鏡は、消化管の動きに伴い消化管内を通りながら、2秒間に2枚の画像を撮影し、データを体外の受信器に送信します。約8時間撮影後、カプセルは排便時に排出されます。

 この検査の対象となる方は、主に「原因不明の消化管出血」の患者さんです。具体的には、黒色便や血便、慢性の鉄欠乏性貧血など出血の証拠があるものの、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)と大腸内視鏡検査を行っても、出血の原因がわからない場合に、小腸に出血の原因がないか検査することになります。ただし、カプセル内視鏡は観察しかできないので、病気が発見されて、その後の詳しい検査や治療が必要な場合には、ダブルバルーン内視鏡(あるいは、シングルバルーン内視鏡)などといった小腸を直接見ることができる内視鏡で詳しく検査します。

 これまで、小腸には病気が少ないと言われてきました。しかし、近年カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡などの、小腸を詳しく観察できる内視鏡技術が進化し、様々な病気が以前より発見されるようになりました。どのような病気が見つかるかというと、癌やポリープなどの腫瘍、潰瘍、びらん、炎症、血管異形成などがあります。

 検査時の偶発症として、カプセルが体外に排出されない場合があります。2週間以上体外に排出されないことを「滞留」といい、下剤などで排出を促します。それでも排出されない場合は、ダブルバルーン小腸内視鏡による回収や開腹手術が必要になることがあります。そのため、腸管狭窄(腸が狭くなっている)が疑われる患者さんや、診断が確定しているクローン病の患者さんは、現時点では検査の対象外となっています。また、その他に、心臓ペースメーカーや他の電気医療機器が埋め込まれている患者さんや、嚥下(飲み込み)ができない患者さんも検査を受けることができません。

 検査は基本的には入院の必要はなく、外来でできます。検査の準備として、前日の夜9時以降は飲食を中止します。検査当日は朝9時頃来院し、カプセル内視鏡のデータを受信する機器などを装着した後、カプセル内視鏡を飲み込んでいただき、検査が始まります。しばらくすると、飲水は可能です。その後30分程度院内にいていただいた後は、院外で仕事や家事など通常の日常生活が可能です。5時間後から通常の半分程度の軽食を食べることができます。検査開始から約8時間後の夕方5時頃に病院に戻っていただき、検査機器を外して、検査終了となります。

 カプセル内視鏡は、当院でも今年の春から導入されました。胃カメラと大腸カメラを行っても原因がわからない消化管出血の患者さんは、小腸を検査するためにカプセル内視鏡検査の検討が必要ですので、主治医の先生にご相談下さい。


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