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病院広報誌

緑のひろば

2009年9月号

鏡視下手術

外科 児玉 俊


ちょうど今年で日本で初めての腹腔鏡下胆のう摘出術が行われてから20年になります。
新聞や雑誌、テレビなどで「腹腔鏡(または胸腔鏡)下手術」や「鏡視下(“きょうしか”と読みます)手術」という言葉を目にされたことのある方も少なくないと思います。

内臓や肺にできた病気を取り去るためには「開腹」あるいは「開胸」という10cm前後から時には20cm以上の切開をして、おなかや胸の中で様々な操作を行います。この様々な操作を、小さなきずからテレビカメラやマジックハンドのような器具を使って行う手術が「鏡視下手術」です。多くの場合1cmほどのきずが3〜5か所と、場合により切り取った臓器を取り出すための5〜6cmのきずで手術が行われます。また、おなかの場合はカメラやマジックハンドを動かすスペースを確保するために、炭酸ガスでおなかを膨らました状態で手術を進めていきます。からだの表面にできるきずには大きな違いがありますが、もちろん実際にからだの中で行われる操作については開腹、開胸手術と鏡視下手術で大きな違いはありません。

鏡視下手術はきずが小さいので、見た目だけではなく手術後の痛みが少ないのが一つの特徴です。さらに患者さまの体にかかる負担が少ないので、手術後の回復が早いとされています。実際に胆のう摘出術(胆のう結石症に対する手術です)では、10日前後必要だった入院期間が1週間以内で済むようになりました。

いいことずくめのように思われる手術ですが、万能というわけにはいきません。昔手術を受けられた方や、強い炎症を起こされたことのある方の場合は、手術が必要な場所に癒着(内臓がくっついてしまうこと)が生じていて、操作ができないこともあります。また、テレビカメラ越しの映像、マジックハンド越しの掴みにくい感触、さらには見えていない場所で何かが起こっていないか常に気を配らないといけないなど、手術を行う側にも慎重な操作が要求され、それゆえに総じて開腹、開胸手術に比べて時間がかかってしまったり、時には途中からでも開腹、開胸手術に移行しなくてはいけないことがあったりもします。

現在、関東中央病院の外科では、次のような病気に対して鏡視下手術を行っています。
 ・胆のう結石症
 ・胃、大腸の大きな良性腫瘍や早期がん
 ・自然気胸
 ・肺に出来た小さなしこりの診断、治療
 ・皮膚に変化を起こしていない乳がん

適応がある場合には私たちも治療方選択肢の一つとしてお話しております。お気軽に診察を担当した医師にお尋ね下さい。
「からだに負担の少ない治療」はもちろん大事ですが、それも「安全」「確実」があってこそです。私たちもこの3つのバランスを良く考えながら、皆さんに最もよい治療法をお勧めしていきたいと思っています。



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