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病院広報誌

緑のひろば

2009年8月号

チームドクターの仕事

整形外科 眞田高起


関東中央病院で整形外科医としての勤務をする傍ら、サッカーJ2コンサドーレ札幌のチームドクターをさせて頂いています。コンサドーレ札幌の場合は約8人の医師で仕事を分担し、試合や練習に帯同して選手の体調や怪我のチェック、治療などを行っています。私はとくにアウェーの試合に帯同しています。

今回は、医師が試合会場でどんなことをしているかお話させていただきます。
試合当日は約2時間前に試合会場入りして、選手の状況をトレーナーから聴取します。まず、痛みや怪我、疲れなど、気になる選手を診察します。といっても診察室もありませんし、高価な診察機器もありません。選手のそばに行って話を聞き、触診や問診で確かめます。その日の出場予定選手がスタジアムに来ているので大きな問題を抱えている選手はいませんが、選手達は緊張や気持ちも高ぶっています。むしろ試合前の不安を取り除き、ちょっとした息抜き相手という感じです。しかし、試合中には負傷した選手の所に駆け寄って、試合続行可能か不可能かを即時に判断します。よく倒れた選手のところに集まるチームスタッフをテレビでご覧になるかと思いますが、彼らのほとんどはトレーナーとチームドクターです。明らかに動けないときは選手の退場を指示し治療に入りますが、判断に迷うときもあります。退場した選手からは、試合に出場できたのに、と不満を聞くことも稀にあります。選手に対しては複雑な気持ちですが、選手の安全や、チーム全体のことを考慮して、トレーナーやコーチに提言しています。試合終了後は、改めて怪我や体調に変化のある選手を診ます。選手は試合中の少々の痛みは我慢してますから、良くこんな状態であんな動きができるなと感心します。さすがプロです。問題なければゲーム帯同は終わりですが、これで終わらない時があります。それはドーピング検査です。現在は各チームから2名の選手が抜き打ちで尿検査をする事になっています。ヒーローインタビューが終わった選手でも、直後にドーピング検査室に連れて行かれる事があります。

原則的には尿が出るまではシャワーも許可されません。試合後の選手は脱水状態が多いですから、試合後2時間経過してもまだスタジアムの一室のトイレの前で格闘していることもあります。しかも、検査官の前で尿を出すのです。想像すれば分かりますが、人前でおしっこを出すのってなかなか出来るものではありません。禁止薬物の中には普段薬局で売っている風邪薬や漢方薬もありますし、栄養補助食品中にも禁止薬物が混入されている事があります。風邪をひいたからと言ってうっかり点滴治療もできません。選手達のドーピング検査に立ちあったり、普段の内服薬のチェックをすることもチームドクターの仕事です。

試合の現場では検査や治療道具が不十分でも選手やチームには瞬時にある程度の答えを求められる事もあり、緊張も強いられます。しかし、医療を提供するだけでなく、チームの一員として共に戦い、励まし、応援し、時に息抜きの相手などしながら選手がいい状態でプレーできるようにサポートするのがチームドクターの仕事と考えています。
今年のコンサドーレ札幌は若返りを図り、良い雰囲気でのチーム作りが進んでいます。すべての選手が怪我でチームを離れることなく、来年は何としてもJ1に昇格して欲しいと願っています。

写真
試合直前のミーティングでは、監督からの作戦内容が選手達に
細かに伝えられていた



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