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病院広報誌

緑のひろば

2009年6月号

飛蚊症(ひぶんしょう)

眼科   岸本修一


<飛蚊症って何?>
明るい所で白い壁やノート、または青空などを見つめたとき、目の前に虫や糸くずなどの『浮遊物』が飛んでいるように見えたことがありませんか?
 視線を動かしても一緒に移動してくるように見え、まばたきをしても目をこすっても消えません。このような症状を医学的に『飛蚊症』と呼んでいます。

<飛蚊症はどうして見えるの?>  まず眼の構造についてですが、眼の表面の黒目にあたる部分は角膜という透明のレンズであり、その中に水晶体というもう一つのレンズが存在しています。
 外から来た光は角膜と水晶体という2つのレンズによって集められ、眼の奥にある網膜にピントが合うことによって、ものが見えるという仕組みになっています。
 眼球の中のその他の部分には、硝子体と呼ばれるゼリー状の透明な物質がつまっています。
 この硝子体に何らかの原因で“濁り”が生じると、明るいところを見たときにその濁りの影が網膜に映り、眼球の動きとともに揺れ動き、あたかも虫や糸くずなどの『浮遊物』が飛んでいるように見え、飛蚊症として自覚されるのです。


・眼球の水平断面図
眼球の水平断面図

<飛蚊症って病気なの?>
飛蚊症自体は、一つの症状であり病気そのものではありません。
先ほど説明した飛蚊症の原因となる硝子体の中の“濁り”には、生理的な原因によるものと病的な原因によるものがあり、そのほとんどは病気でないものですが、ときに思いがけない病気が原因となっていることがあります。

<生理的な飛蚊症について> 生理的な飛蚊症の原因はいくつかあります。
まず生まれつき存在する飛蚊症についてですが、母体内で胎児の眼球がつくられる途中では、硝子体に血管が通っていますが、眼球が完成するとこの血管は無くなっていくのが普通です。しかし、生まれたのちも血管の名残りが硝子体に残存すると、これが“濁り”となって飛蚊症の症状を感じることがあります。
次に加齢に伴って急に増える飛蚊症についてですが、硝子体は加齢とともに少しずつ液体に変化し、しぼんできます。そして60歳前後になると、網膜から剥がれて硝子体と網膜の間に隙間ができます。これを後部硝子体剥離といいます。
後部硝子体剥離が起こると、硝子体の後ろ側の膜が網膜に写り、急に飛蚊症が現れます。この後部硝子体剥離は、誰にでも起こる生理的な現象であり、それ自体は問題ありません。ただし、少数ながら、網膜と硝子体が強く癒着していたり、網膜が薄い人では、次項で説明する網膜裂孔や網膜剥離が起きてしまうこともあります。

<飛蚊症が現れるおもな病気>
飛蚊症を自覚しても問題のない場合がほとんどですが、なかには次のような重大な眼の病気の一症状であることがあります。
網膜裂孔・網膜剥離
後部硝子体剥離やその他の原因で網膜に穴が開いたり(網膜裂孔)、その穴を中心に網膜が下の層から剥がれて硝子体の方へ浮き出す(網膜剥離)ことがあります。このような現象が起こると、初期症状として飛蚊症の数が急に増加します。
硝子体出血
糖尿病や高血圧、外傷などにより眼底で出血が起こり、その血液が硝子体に入ると突然、飛蚊症の症状を感じます。
ぶどう膜炎
虹彩・毛様体・脈絡膜の3つの部分からなるぶどう膜に細菌やウイルスが進入したり、眼のアレルギー反応により炎症が起こると、血管から白血球や滲出物が硝子体に入り込み、飛蚊症の症状を感じます。
網膜剥離

<まとめ>
 初めて飛蚊症を自覚したときは検査を受けましょう。生理的飛蚊症と診断されれば、ひとまず安心。ただし、飛蚊症がひどくなったり、別の症状が現れたら、もう一度検査をしてもらいましょう。そして、飛蚊症の原因がもし病気によるものだとしたら、その病気をしっかりと治療してもらいましょう。



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