肝細胞癌発生の背景として、かってはB型肝炎感染者が中心でした。
現在では肝細胞癌患さんの約8割がC型肝炎感染者であり、それに伴って患者さんの高齢化が進んでいます。特に当院では、立地的条件も重なり高齢患者さんが多く、肝細胞癌初発時の平均年齢は平成15年3月時点で72歳に達していますが、
約10cmの癌を治療した90歳の患者さんを最高齢として高齢者に対する治療を積極的に行っています。


 少し前であれば70歳を越えると「もう年だから・・」と、特に患者さんのご家族が積極的な治療を望まれないケースがありました。しかし現代はインフォームドコンセントの時代で、患者さんに実際の病名を告知した上で治療方針を決定していくのが基本です。

 実際に患者さんを拝見すると70歳、80歳といってもまだ若々しい方がほとんどで、よくお話をすると積極的な治療を希望されることが多いようです。確かにおなかをあけての手術となると高齢者では合併症も多く、敬遠されがちですが、ラジオ波の治療では治療翌日には歩行が可能となり、半数の患者さんは5日間で退院されます(平均在院日数は10日)。また、これまで当院で治療させていただいた患者さんを70才未満、70歳から75歳、75歳以上に分けて比較してみると、治療後の合併症率はいずれも約2%程度と非常に低く年齢による差は認められませんでした(文献1、表1)。
したがって高齢者であっても、若い方と比較して特に危険性が高いとは言えません。この結果は各種学会や研究会でも発表しております。